昔むかしのマンガには、タコのような頭あたまのおじさんがよく出でてくる。
怒おこると真まっ赤かになって、よりいっそうタコそっくりになるおじさんだ。これはツルツルで丸まるい頭あたまを、タコの「頭あたま」に見み立たてているわけだが、一いっ般ぱん的てきに頭あたまだと思おもわれている風ふう船せんのようなタコの頭とう部ぶは、「頭あたま」ではなく胴どう体たい。あの丸まるい部ぶ分ぶんには、心しん臓ぞう、肝かん臓ぞう、消しょう化か器き官かんなどの内ない臓ぞうが詰つまっていて、本ほん来らい頭あたまの中なかにあるべき脳のうは入はいっていない。
では、タコの頭あたまはどこにあるのかといえば、目めのあるあたり、腕うでの付つけ根ね付ふ近きんの少しょう々しょう奥おくまったところに鎮ちん座ざしている。この“ほんとうの頭あたま”には軟なん骨こつでできた頭ず蓋がい骨こつがあり、さらにその中なかにはちゃんと脳のうもある。
ちなみに、口くちと誤ご解かいされやすい墨すみを吐はく突つき出だした部ぶ分ぶんは、「漏ろう斗と」と呼よばれる、呼こ吸きゅうや排はい泄せつのための器き官かん。ほんとうの口くちは、頭あたまと同どう様ように腕うでの付つけ根ねの部ぶ分ぶんにある。