ますます寒さが厳しくなり、冬の装いに切り替える人も増えてきている。このシーズンになると瘦せている人は、「太っている人は、『自前』の服を一枚着ているから、寒くなくて羨ましい」と感じているかもしれない。
こうした状況下において、太っている人はなかなか難しい立場に立たされる。薄着をしていると、周りから、「太っている人は寒くないっていうのは本当なんだ」と言われるし、厚着をしていると、「太っているのに寒いの?もしかして太っているんじゃなくて、むくんでいるだけだとか?」と言われてしまうからだ。
太っている人も実は寒い
周知の通り、ヒトは恒温動物で、体熱産生と放散を自ら調整している。そのため、体温を保つためには熱を自分で産生させなければならない。
体内で、熱を最も多く産生しているのは筋肉で、脂肪はエネルギーを蓄える働きがある。また、「褐色脂肪細胞」は脂肪を分解して熱を発生させる働きがある。しかし、太っている人の脂肪のほとんどは白色脂肪細胞で、熱を発生させることはない。また、脂肪細胞のミトコンドリアは、筋肉細胞のミトコンドリアより少ないため、筋肉が少なくて太っている人は、普通の人より寒がりとなる。
また、ミトコンドリアをあまく見てはいけない。ミトコンドリアにも熱を産生する働きがあるからだ。細胞の有酸素性エネルギー代謝はミトコンドリア内で行われる。燃料となる体内の炭水化物や脂肪、タンパク質を見つけると、ミトコンドリアは火のようにそれを燃焼し、エネルギーを生成する。
そのため、太っている人は脂肪が多く、それが「保温」の働きをするものの、熱を産生させることはない。寒い日は、太っていても、瘦せていても、同じように厚着する必要があるということだ。
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