累進課税と生活保護は基本同じ
中流階級の人々は、税金の配分に関して以下のような矛盾した主張をする傾向があります。
累進課税を支持
生活保護をバッシング
パレートの法則では、「20%の要素が80%の成果物を生産」する傾向があります。
そして経済でも似た傾向があり、富の80%は、上位20%の富裕層が生み出しています。
そのため、累進課税は、「上位20%の富裕層が、残り80%の庶民を養うシステム」というのが実態です。
ですが、生活保護のような、貧困層を養うためのシステムはバッシングされます。
累進課税も生活保護も、どちらも同じ所得移転です。
累進課税と生活保護を比較すると、以下のような違いが浮かび上がります。
累進課税:中流階級に配分
生活保護:貧困層に配分
中流階級の人々が累進課税を支持し、生活保護をバッシングするのは、
「富裕層の取り分を奪い、貧困層への取り分を減らして、中流階級の取り分を最大化したい」
という利己的な動機が背景にあると思われます。
ちなみに、生活保護の原資は、前述のパレートの法則により、中流階級からの税よりも、富裕層からの税の方が圧倒的に多いと思われます。
生活保護者を養っているのは中流階級ではなく、富裕層がメインです。
中流階級の人々は、生活保護の人々に対して、文句をつけられる筋合いは基本的にないのです。
中流階級の腐敗
前の項で中流階級の人々に「累進課税が支持され、生活保護がバッシングされる傾向」は、
「富裕層と貧困層の取り分を減らして、中流階級の取り分を最大化したい」
という利己的な動機が背景にあると述べました。
こういった願望は、選挙を通じて実現されてしまう傾向にあります。
筆者はそうした傾向を個人的に「中流階級の腐敗」と呼んでいます。
「中流階級の腐敗」が社会問題を引き起こす
前述した「中流階級の腐敗」は様々なデメリットをもたらします。
富裕層の取り分を減らす:社会主義の失敗
貧困層の取り分を減らす:犯罪の増加
前述した、「上位20%の富裕層が80%の富を生み出している」という傾向から、富裕層の取り分を減らしすぎると、富裕層がやる気を失い、80%の富が失われてしまいます。
社会主義国の失敗がこれだと思われます。
そうして、全体のパイが減れば、いくら平等でも、一人当たりのパイが少なくなってしまいます。
富裕層の取り分を減らす事で、長期的には、中流階級の人達は、自分達の取り分も減らしてしまい、逆に貧乏になっているのです。
また、貧困層には、障害や病気を持つ人々が多くいます。
そうした人々への社会保障を減らせば、追い詰められた彼らは、犯罪に走り、治安が悪化し、中流階級の人々も被害を受けます。
実際に、「ケーキを切れない非行少年たち」という精神科医が書いた本で、非行少年たちには、福祉の網から零れ落ちてしまった、発見されにくい軽度の障害を持つ少年たちが多くいる事が指摘されています。
生活保護バッシングでは、「不正受給」が批判されますが、あれは、ごく一部の不正受給のみを取り上げて、生活保護全体を否定する、という屁理屈です。
中流階級の人々が、「自分達の取り分を最大化したい」という利己的な動機から、屁理屈を使って、生活保護をバッシングしているのです。
富裕層に重税をかけ、バラマキ政策を求める中流階級の方が、「不正受給」よりも悪質です。
まとめると、中流階級の人々は、自分達の取り分を増やそうとズルをする事で、逆に自分達の取り分を減らしているのです。