何事もほどほどに

僕の友達が大変なことになっている。γーGTPの値が260を超えている。通常は、上限が確か80だと記憶している。そんなには間違ってはいないと思う。通常時の約3倍である。医者には1週間酒をやめなさいと言われたらしい。

そんなことは、お構いなしに飲んでいる。こんなことを続けたら肝硬変になって、最終的には、肝臓がんになりかねない。周りがとやかく言うことではないが、黄疸が出てからでは遅いので、お酒を飲めないように入院させられるかもしれない。

個人的には、中島らもがアルコール依存症で黄疸が出て、尿の色がコーラ色で便は白くなって、食事も固形物は受け入れない身体になってしまってから入院することになったのである。幸い、肝硬変ではなかったが、脂肪肝だったという。そのくだりは、中島らもの小説、「今夜すべてのバーで」で書かれているので、興味のある方はご一読を願いたい。

僕も、人のことは言えない。アルコール依存症の一歩手前まで足を踏み入れているからである。うつ病を患い、仕事も失い、家庭も崩壊して、残ったのは、父親が連帯保証人になっていたので、分譲マンションのローンだけである。自己破産をして、身軽になったと思いきや、自分の身内に火の粉が飛び火した。

一番、酷かったのは実の父親からきちがいと言われたことである。うつ病だということを説明してもらうために、一緒に精神科に行ったが何の理解も得ないまま病院を出たということがある。その頃の酒量は、朝から、缶ビールを飲んで、飲み足らないので、ウィスキーをがぶ飲みしていた。

なので、彼の気持ちも分からなくはない。かつて僕も同じだったから。親の仇みたいに飲んでいた。そういう時は酔いたいのに酔えない。だから、ますます酒の量が増えるのである。そういうことを繰り返しながらきていた。結局、立ち直ったきっかけとしては、入院をして、幼かった息子のために、お酒を遠ざけることができた。

しかし、退院すると飲み始める。ウィスキーをストレートで飲んで、一人、空虚な時間を持て余していた。その生活が続いていた時に、今、行っている作業所に行きだした。そのときは、自分と同じ環境の人がいたということで落ち着きを得られたことを、今でも覚えている。酒はほどほどで付き合うのがいい。何事も度を越えるとろくなことにならないから。