こんばんは。瀬潟です。連投ですみません。明日から実家に帰省してしまうので、対局の振り返りだけ帰省前にやってしまいます。
今回取り上げるのは先日の大会の3局目です。2局目はチームとして1-2となり、落としてしまいました。気を取り直して迎えた3局目です。相手は高校生ですが、今回一緒にチームを組んでいる同期と同じ高校出身であり、侮れません。将棋ソフトが普及してきたこともあり、最近は年齢を問わずソフトによる序盤研究が行われていますし、そもそも高校生は普通に強いです。
私の先手番となり、初手から、
▲7七歩△3四歩▲6六歩△3二飛▲7七角と進めて以下の局面です。
まだ5手目ですが、私が将棋部在籍中に何度も指し、実戦と研究を重ねた局面です。ここから相振り飛車の戦いになります。相振りを指されない方にとっては全く見たこともない、相振りを指す方でもあまり見かけない局面なのではないでしょうか。相振り飛車西川流と呼ばれる形の序盤です。西川流については西川和宏六段(当時四段)の『これからの相振り飛車』で詳しく解説されています。
4手目△3二飛では後手の勝率が高いと言われていますが、私はこの西川流がかなり有力な対抗策だと感じています。普通の相振り飛車だと、△3二飛以下、▲6八銀△3五歩▲6七銀△6二玉▲7七角△3六歩のような進行をしている気がします。この変化だと相手に美濃囲いに組まれる上、手順によってはこちらだけ▲3七歩と謝る必要があり、不満な展開です。西川流の骨子は、▲7七角~▲8六歩~▲8五歩と伸ばし、相手の美濃囲いを牽制する点にあります。例えば以下は西川流の成功局面です。
こちらが一歩持つと▲8四歩△同歩▲8二歩の筋が生じるため、相手は駒組に制約を受けます。
実戦では5手目▲7七角から、
△3五歩▲7八銀△6二玉▲8六歩
△7二銀▲8五歩△3六歩▲同 歩
△同 飛と進み、以下の局面です。
一見前述の筋が生じているように見えますが、今回は▲8四歩は手抜かれ、△6六飛が厳しいです。▲同角△同角は香取りと△5七角成を見せられてる上、受けも難しいです。あり得る手順とすれば、14手目△3六同飛の局面から、
▲8四歩△6六飛▲同 角△同 角
▲8三歩成△同銀▲8二飛△7二角
▲7七桂△5七角成(下記図)ですが、あまりやる気はしません。
というわけで、14手目△3六同飛から、
▲6七銀△7一玉▲8八飛△4二銀
▲2八銀△3四飛▲5六銀△1四歩
▲3七銀△3三桂▲3八金△4四歩
▲8四歩△同 歩▲同 飛△8三歩
▲8八飛(下図)と進みました。
西川流ではできるだけ▲3七歩と謝らずに駒組を進めていきます。矢倉に組んで圧迫していく方針です。本来であれば▲8五飛と引き、飛車の横利きで相手の攻めを受け止める戦法なのですが、この局では手順を間違えてしまったため、一度▲8八飛車と引く羽目になっています。この手順で▲8五飛とすると、△4五桂で痺れます。本来であれば△4二銀のタイミングで▲8四歩から▲8五飛としたあと、▲2八銀~▲4八玉~▲3八金と、浮き駒を生じさせないように矢倉を組んでいきます。
とはいえ、大勢には影響はありません。31手目▲8八飛以下の指し手
△4三銀▲4八玉△1三角▲5八金
△5四銀▲8五飛(下図)
こちらは相手の攻めを受け止め、反撃を狙う方針です。記事が長くなってきたのでこの辺で終わりにします。第2譜では中盤以降、私の対局中の考えや研究に触れながら振り返っていきます。
お付き合いくださりありがとうございました。
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