こんばんは、瀬潟です。しばらく更新をさぼってしまいました。最近は修士論文執筆に向けた調査の準備に熱中していました。北海道を離れ、全国各地を行ったり来たりしています。
今回Steemitを更新しようと思ったのは、「学力」に関する興味深い論文を読んで、日本における「学歴社会」と「文部科学政策」について思うところがあったからです。その論文はこちらです。Goodman et al., (2018) “Heat and Learning”, NBER Working Paper No. 24639, Issue in May 2018 (http://www.nber.org/papers/w24639). なお、NBER: the National Bureau of Economic Researc(全米経済研究所)はアメリカにおける非営利な経済学研究団体であり、特に経済学の実証分析に強みがあります。詳しい内容については後日、論文紹介の形で皆さんに紹介しようと思います。論文の要旨は、「教室の温度は、児童及び生徒の偏差値に対して有意に負の影響を与える」ということです。より分かりやすく言えば、「暑い教室、すなわち不快な環境で学習する児童や生徒は、涼しい教室、すなわち快適な環境で学習する児童や生徒よりも偏差値が低い」ということになります。小学校の教室にエアコンを設置するのはもったいない、ぜいたくだという議論に対し、エアコンの設置による投資効果は十分に期待できるという解を与えた成果だといえると思います。
論文の内容や解釈、論文に対する議論は後日の記事に譲るとして、今回は日本における「学歴社会」のダブルスタンダードについて述べたいと思います。
現在の日本が「学歴社会」であることは多くの人が認めるところであると思います。中卒の学徒が「金の卵」ともてはやされた時代はとうに過ぎ、高等学校進学率はほぼ100 %という状況です。高校卒業後の進学を見据えて普通科に進学する生徒が普通です。農業高校、工業高校、商業高校等専門高校の人気は低迷しています。大学進学率についても、とうとう50 %を超え、大卒はもはや「エリート」ではなくなっています。
専門高校の果たすべき役割の議論は別として、もちろん国民全体の進学率が向上すること自体は全く悪いことではなく、むしろ好ましいことです。国民全体の学力・教養の底上げが図られ、国の競争力強化に直結します。しかしながら、「学歴」の重要性がゆがんだ形で発現し、また「学歴社会」の在り方がおかしいのが現在の日本であると考えています。
日本の「学歴社会」のどのような点がダブルスタンダードな状態となっているか、私なりの考えを述べたいと思います。日本における「学歴社会」のダブルスタンダードは2点存在していると考えます。1点目に、「学歴」を学生に求めながら、学生の学びの過程と成果を軽視している点です。2点目に、「学歴」を国民に求めながら、学歴の形成を支える文部科学政策が貧弱であり、なおかつ方向性が間違っている点です。
記事が長くなってきたので、一旦この辺で終わりにします。続きはすぐに更新します。お付き合いいただきましてありがとうございました。
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