ブロックチェーンよりフィンテック(Fintech)が重要な理由

in blockchain •  8 years ago  (edited)

昨年9月26日から29日の4日間に渡り、SWIFT(国際銀行間通信協会)によって毎年開催されている国際会議、「Sibos」がスイスのジュネーヴで行われました。3年前までこの場で注目されていたビットコインも、ブロックチェーン/分散型台帳技術(DLT)が中心であり、殆ど話題にならなかったようです。

アメリカ最大の資産を保有する銀行JPMorganChaseのCEOは、最大の脅威はライバルの銀行ではなく今後やってくるシリコンバレーのIT企業だと言います。現在の世界の時価総額ランキングを見ても、そのJPMorganChaseでさえ14位であり、トップ10のうちの約半分がインターネット関連企業で、Apple、Google、Microsoft、Amazon、Facebookなどのメガベンチャー5強が、今後銀行などの強力なライバルになって行く事は間違いなさそうです。

世界時価総額ランキング「Think 180 around」(2016年07月末時点)
最近になってようやくGoogleやAppleなどのメガベンチャーも、決済に関してVISAの様なクレジットカードよりもRippleのInterledger Protocol(ILP)に興味を持っていると言った報道が出て来るようになりました。リップル社のStefan Thomas氏が「ブロックチェーン技術に見切りをつける」と言った内容の論文を発表しましたが、スピードの早い彼らと競争する為に、金融機関も早急にRippleの導入に動かなければならないと言えそうです。
Google & Apple Prefer Ripple Blockchain Tech over Visa「CCN.LA」(2016.8.26)
ビットコインの伝道者トーマス氏、ブロックチェーン技術に見切り 「台帳は柔軟性欠く」「SankeiBiz」(2016.8.29)

FinTech
フィンテックを理解すれば、これから訪れる未来がいち早く予想出来る
ファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせたの造語フィンテック。それでは、フィンテックとは一体何を指すのでしょうか。ベンチャーキャピタルのグロービス・キャピタル・パートナーズは、金融の各カテゴリーと「ビックデータ」「AI」「モバイル」「ブロックチェーン」「P2P」「API」などの新たなテクノロジーのトレンドを掛け合わせたものがフィンテックであると説明しています。今後IT企業との競争によって金融業界のアンバンドリング(個別機能の分解)が起こり、最終的に他分野に業務を拡大するリバンドリングが起こるだろうと予測しています。

Fintechは金融ビジネスを一変させる―2016年の予測、トップ4「TechCrunch Japan」(2016.2.26)

Fintech2
またフィンテックの分野で先陣を切って繰り広げられる業界再編が、6‐テック(Fin Tech含)という領域で同じように起こるだろうとも予想しています。6‐テックの1つ目は、教育とテクノロジーの掛け合わせた「Edu Tech」。2つ目はヘルスケアと掛け合わせた「Health Tech」。3つ目が「Auto Tech」ということで車。4つ目が家との掛け合わせで「Home Tech」。そして最後は宇宙やドローンといった新しい領域の「Frontier Tech」を指します。投資のプロである彼らは、今後この6つの領域がメインストリームになると考えているようです。

つまりこの点から理解出来る事は、いち早くフィンテックの領域で新たに構築されるビジネスモデルやサービスなどを理解すれば、今後異なる業界で起こる競争原理やKSFのヒントを、事前に把握する事が可能になるだろうと言う事です。ユーチューブのGLOBIS知見録では、イーサリアムも含めた現在進行中のフィンテックベンチャーのケーススタディーを学ぶ事が出来ます。ブロックチェーンは確かに重要なテクノロジーの一つである事は間違いありませんが、あくまで注目されているトレンド技術の一つ。ブロックチェーンだけ見ていても、決して大きな流れを掴む事は出来ないような気がします。

金融×テクノロジー 「Fin-Tech」とは?「GLOBIS知見録」(2016.5.24)

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