ユニクロのモデルたち

in japan •  5 years ago  (edited)

以下は2001年に書いた。ユニクロは方針を変えた。もう応援してない。


新宿・伊勢丹は私の好きなデパートの一つだが、そこに至る地下道の壁に繰り返し貼られているポスターが視野にはいると舌打ちしたくなる。

そこら辺のテキトーな(としか私には思えない)白人女性を引っ張って来て、SMチックな服を着せてパチリ、ハイ、一丁上がり!

毎シーズン判で押したようにそのやり方なのだ。

敗戦国が戦勝国に憧れ、猿真似をするのは当然だがあれから56年も経つんだぜ! (2001年に書いている)

西洋人が着て美しいからといって東洋人が身につけて同様に映えるものだろうか?

結局我々は未来永劫、紅毛碧眼長身鼻高脚長の白人に劣等感を持ち続ける民族なのだろうか……


ソ連亡き後、やりたい放題の米国にケツを捲れる国があるとすればそれは中国だろう、というのが衆目の一致したところのようだ。

ところが案外、中国も日本同様「米国の精神的植民地」に成る可能性があるのではないか、というのが初めての上海での私の感想だ。

目抜き通りのポスターのセンスが日本とまるっきり同じなのだ。

嗚呼、この国にしてこの病有り。白人崇拝。

下手すると上海の若者も香港同様、チャーリーとかマイクとかエリザベスなどと呼び合うようになるのかもしれない。


私は意識的に小学生の頃から洋画を観ているし、中学生になると、はや英米の翻訳小説しか読まなくなった。

米国文化の直截さ・ユーモアは人生の目標だ。

その私が、「白人基準」に抵抗があるのだから、「日本人モデルを使え」と指示した化粧品・服飾業界のお偉いさんも当然居ただろう。

それでも依然として白人は「美・豪華・贅沢・ハイセンス・クラス…」の記号として君臨し続けている。

多少なりとも道理を弁えた企業人の意見は、いつものように多数派・穏健派の「日本的なし崩し」の前に敗れ去ったのだろう。


前置きが長くてすまぬ。さて、ユニクロのポスターだ。

一目瞭然とはこのことだ。機会があれば観るといい。

およそモデル足り得ない日本人(多分)10~30代の老若男女の飾らない全身写真或いは上半身をスナップ写真のように無造作に並べていくという方法だ。

非常にメッセージのハッキリした広告だ。

「日本人の若者である貴方のために造った普段着ですよ」


私は若い頃から「日本人のためのファッション」などという言葉を何度も聞かされたきた。

だがその「手垢の付いたキャッチフレーズ」をこれほどまで愚直に実践した大企業を目の当たりにするのは初めてだ。

私は銀座のメルサ(名古屋だけかと思っていた)の5階にできたユニクロを出て有楽町に向かった――築地から数寄屋橋目指して(つまり晴海通りね)あれこれ考えながら歩くのが好きだ。(なぜかいつでも戦後日本の歴史ドキュメンタリーフィルムに映る民衆の一人になった気分になる)

「こういう企業が儲かり、上っ面でない企業哲学を実践していく社長が大金持ちになるのが健全な資本主義だろうな…」

追記

ユニクロの株価は暴落中だ。中国進出を懸念して叩き売られているのだろう。

しかしSONYはどこの国にあっても違和感がないし、自国のブランドと勘違いしている米国人もいるとか。

だからユニクロも自国・中国のブランドだと勘違いする中国人が出てくるような売り方をするのではないかと私は期待している。

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  ·  5 years ago Reveal Comment