舞踏とわたし-2- Butoh for me. 2

in japanese •  8 years ago 

2016年12月26日。 突然に決まった個人レッスン。 年内は無理かと思っておりましたので、とても嬉しい出来事でした。 先生のスケジュールもそうですが、何より自分に路銀がない!笑  しかし、伴侶が意外にも珍しく男前に「行きたいなら行こう!」と言ってくれましたので、年内最後のレッスンに行くことを決意しました。

そうして、レッスンを受けられたことにとても感謝し、素晴らしい時間を送れたことに大満足の3時間でした。

二度目ということもあり、最初の「空間と出逢う」(大野一雄舞踏研究所と出逢う)という作業は初回の時に比べて、すんなりと体がその空間と出逢うことに迷いが無かったように思います。  「再び戻って来た」という思いを膨らませながら、その気持ちを素直に手足に伝えてゆきます。  出逢えた喜びや興奮や新たな発見を目にしながら、空間を観察し、音楽に身を委ねつつも、その音楽にさらわれないように自分の心をしっかりと持ちながら「空間と出逢う」作業を愉しみました。


「薔薇の花は先生です。 その先生を大切にしてね、練習してください。」と、初回のレッスン時に戴いた白い造花の薔薇の花は、無言ながらとても厳しい先生で、あっちこっちにわたしを振り回してくれるのですが、その動きを捉えることがとても難しく、「続けていれば7年後には自分が薔薇になりますよ。 アイ アム ア ローズ!」とおっしゃった慶人先生の言葉通り、白薔薇先生は寡黙で、そうしてままならない自分の動きや迷いや困惑を露わにしてくれます。 その露わになった自分を受け入れることでわたしの動きは様々に変化しつつ、慶人先生の助言を受けながら、徐々に徐々に「自分そのもの」の動きが出てきます。


白薔薇先生と積んできた「踏みしめる舞い」のイメージを大切にしながら瞬間、瞬間に浮かぶ自分の動きのイメージのままに慶人先生からの課題についてゆけるよう精一杯の「今ある自分」を出せるだけ出してゆきます。 それでも、足りない!足りない!笑  まぁ、当然なのですけれどね。 そう簡単に表現できるものではありませんし、入り口は広くても出口は殊の外狭き門なのです。 これは、人生の出口ともいえるかもしれません。 ですから、絵と同じように描けばいいというものでもないですし、動いていればいいというものでもありません。 イメージすることや表現することそのものを止めない限り続く作業を繰り返し、繰り返し積み重ねることのほうが大切なのです。 積み重ねたからといって、年数と同じだけ鰻登りというわけではありません。 人によって「最高の時」は違うのです。 その「最高の時」を捕まえるために、日々を積み重ねるのです。


フルムーン(満月)という新な課題を与えられ、わたしは大きな月をこの研究所に持ってこなくてはなりませんでした。 想像以上に難しい! 「傲慢なオブジェですね。 月をここに入れてしまうんですから」 そんな慶人先生の何気ない助言を受け取りながらフルムーンを体感し、大胆な大きな動きと繊細な小さな動きを学んでゆきます。 迷いながら舞い続けるわたしに、慶人先生はひとつの提案を与えてくださいました。 「子宮の中に生命が宿った! 小さい小さい生命だ! それを小さな月(星)と思ってやってみましょうか。 小さな生命の踊りを見せてください。」 その助言はこれまでの戸惑いをサッと消し去り、わたしは研究所という大きな空間のカンバスに大きな月を描き、そうして自分に宿った命を愛おしく思うように、体内に小さな生命の月を描きました。 うまくいったかどうかは分かりません。 しかし、今の自分に出来る表現であったと思います。


わたしを一番悩ませている課題のひとつである、絹糸を使った「硬い動き」と「柔らかい動き」の訓練です。 この訓練はとても難しく、わたしにはなかなか心と体が一致しません。 一体感が掴めないのです。 「こうか?」「これでどうだ?」などと自問自答しながら行っていると、慶人先生が「よかったですよ。 (略)あなたの中には聖なる子供が居ますね。 その聖なる子供を育てるのがいいでしょう。」とおっしゃいました。 わたしは驚いて、「おぅ!(マジですか?)」と声を思わず上げると、慶人先生もつられて「おお! そうですよ!」とにこやかにわたしへの助言を続けてくださいました。


最期は白薔薇先生との共演です。 「バラ園を訪ねて」という音楽に合わせて、バラ園を訪れ、そうしてバラ園と出逢い、その香りや風景、様々な高さや低さのバラたち。 その中でひと際輝く一本のバラとの出会い。 そんなストーリーを白薔薇先生と共に表現します。 困難でありながらもとても面白い課題で、わたしはこの課題を目一杯愉しみました。 所々で慶人先生からの言葉を受けながら、バラ園は広がりを見せてくれます。 わたしの「バラ園」は白薔薇先生と恋に落ちるモノとなりました。

普段全く動かないわたしには、約2時間半の間に殆ど休憩もなく舞い続けるというのはとても体力のいることですが、レッスンを受けている間は何の苦も感じません。 ニンゲンの感覚とは本当に不思議なモノですね。 家に着いた途端に筋肉痛と体力の限界を感じるのですからね。

レッスンを終えて、慶人先生や圭子さんに出逢えた喜びと、悲鳴を上げる肉体とに十分すぎる満足感を感じながら一年の締めくくりに相応しいひと時を送ることができました。

今年は更に白薔薇先生と訓練を重ね、再度、大野一雄舞踏研究所と一度でも多く出逢いにゆきたいと思っています。

舞踏との出逢いは、もう一つのわたしの人生との出逢いであるように感じております。 何物にも代え難い自分という命との出逢いのような気がします。 平面表現とはまた異なった出逢いを得たことに幸福を感じ、そうして同時にその一時的な幸福感の裏にある、決して本当の幸福を得ることのできない現実を感じ、これからの「自分」を探求し、模索し続けることを改めて芯に刻み、また、新な舞踏への一歩を踏みしめたいと思います。


わたしにはわたしの「舞踏」がある。 その「舞踏」を求めて踏みしめることを繰り返しながら、わたしもいつかは「アイ アム ア ローズ!」と体内からの叫びを解き放ちたいと思います!

また、次回の訪問が愉しみでなりません! 今年もわたしは表現者として目一杯、貪欲に歩もうと思います。


では、また!👋

ayumi884





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nice post

thank you!(=゚ω゚)ノ✨

It's very beautiful pictures!!
I love the dance , great job dear @ayumik884 :)

I love butoh dance!!
Thank you so much!(・´з`・)✨