『新記号論 脳とメディアが出会うとき』読後覚え書き(1)steemCreated with Sketch.

in japanese •  6 years ago  (edited)

『新記号論 脳とメディアが出会うとき』

新記号論.png

久しぶりに手ごわい内容の本を読みました。厳密には本ではなくて電子書籍ですが。

内容についての紹介は、共著者の東浩紀さんの「はじめに」の言葉をお借りします。

タイトルのとおり、本書に収録された講義は、まずは「記号論」なる学問のアップデートを狙いとしている。
けれども、・・・(中略)・・・石田氏の目標は、個別「記号論」のアップデートにとどまるものではなく、二〇世紀後半に華開いたものの、いまではすっかり影響力を失ってしまった大陸系哲学の伝統―日本ではおおざっぱに「現代思想」などと呼ばれているもの―を二一世紀のサイエンスとテクノロジーを参照して新しいものに蘇らせ、ふたたび影響力のあるものにすること、つまりは、この金融資本主義とソーシャルネットワークと人工知能の時代にふさわしい、新しい人文学をもういちど打ち立てることにある。

僕はかつて記号論や構造主義にはまっていた時期があります。これらの学問が日本でさかんにもてはやされていたのは1980年代だそうですが、僕がはまったのは、それよりはるか後の時期でしたから、周りから何か影響を受けて興味を持ったというわけではありません。何がきっかけだったのかは、今となっては全く思い出せません。ひょっとしたらブックオフの100円コーナーにたまたま記号論関連の本があったせいかもしれません。いずれにせよ、若気の至りだったと思います。

ソシュールやレヴィ=ストロース、ボードリヤールなどの著作を直接読む力はなかったので、それらの思想家、あるいは彼らの著作についての解説書、あとは記号論や構造主義、ポスト構造主義についての概説書などを読みあさっていました。ですので、一般の人よりは、この本を読むための基礎知識には恵まれていると思います。ラングとパロール、シニフィエとシニフィアン、差異の体系、コノテーション・・・懐かしいなあ。

にもかかわらず、正直に言って本書の内容を十分には理解できませんでした。「なるほど!」と腑に落ちたところもあれば、「ちょっと何言ってんのかわかんない」部分もあり、両者がまだらになっている感じです。スマホではやや読みにくかった(特に語注の参照)こと、通勤時の10分足らずの細切れ時間でしか読んでいなかったことがよくなかったのかもしれませんが、僕の思考力や理解力が衰えていることも否定できません。やはり青春時代とは違います。共著者の東浩紀さんによると、

たしかに本書には、スピノザやフロイト、フッサールやパースといった哲学者の名前が次から次へと出てくる。けれども講義そのものの道すじは、格別の専門知識がなくても、学部生ていどの論理能力と好奇心さえあれば十分に追えるはずである。

とのことです。たしかに噛み砕いて伝えようとしてくれている努力と熱意は十二分に感じました。しかし、いかんせん、読者の僕のほうが、「学部生ていどの論理能力と好奇心」を失っているようです。もう一度、家で落ち着いて読み直したいと思います。あるいはこの手の書籍は、紙の本で読むほうが読みやすいのかもしれません。

この本の内容について、もう少し話したいことがあるのですが、時間がなくなったので、続きは別の記事にします。

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構造主義まわり興味あります。
『新記号論 脳とメディアが出会うとき』...メモメモ。

興味を持っていただいてうれしいです。この本の元になった講義の動画が、ニコ動で不定期配信されているほか、Vimeoで販売もされているそうですが、動画のほうがわかりやすい部分もあるかもしれませんね。

ありがとうございます!
ニコ動とビメオですね、探してみます。

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