これらについても記録に残しておきたいので書きます。ルキノ・ヴィスコンティ Luchino Visconti といえば前にもブログに書きました。しかしこの映画「熊座の淡き星影」(原題はVaghe stelle dell'orsa、英語圏でのタイトルはSandra) は別に書いておきたかったのです。
かなり前にテレビで観ました。戦争中に身内を密告する、エレクトラ・コンプレックス、近親相姦など禁断臭がぷんぷんですね。
で、私にとってこの映画が印象的なのは全編を通して使われるベルギー出身でフランスで活躍した作曲家セザール・フランクCesar Franck のピアノ曲、「前奏曲、コラールとフーガ」Prelude,chorale et fugue でなんですが。ヴィスコンティ様さすがだと思いました。
旧ソ連のピアニスト、スヴァトスラフ・リヒテル Sviatoslav Richter の演奏で。この曲からはなんというか教会のステンドグラスからの柔らかい光や人類の深い罪を見つめた悲しみと祈りを感じるんですね。コラールの部分なんて分散和音がハープのような響きで美しいことこの上ないです。実は自分の実力では弾けないけど楽譜を買って音だけでも拾ってみようとしたことがあります。主にコラールの部分を。他にも左手のぐるぐる同じところを回るような地べたを這うような低音の和音の進行に右手のつぶやきが重なる部分とか。やるせない気分になりましたね。
フランクのこの曲を初めて知ったのはテープ録音で聴いたブルガリアのピアニスト、リューベン・ディミトロフの演奏でなのですがコンクールで落ちた人でも私を一番感動させてくれる演奏をすることがあるということを最初に認識させてくれたピアニストです。
ということで読んでくださってありがとうございました。